
山登り初心者の場合、標高2000m前後の高山になってくると、体力的にも技術的にもハードルが高かったり・・・
何より気楽に楽しむことができないんじゃないかと敬遠してしまいますよね。
ですが、何も自分の足だけで登ることだけが登山ではありません。
ロープウェイやリフトという便利な乗り物があるじゃないですか!
わたしは当初、ロープウェイやリフトを利用して山に登る“ロープウェイ登山”は邪道なんじゃないか?と思っていました。
ですが、同行した山登りの先輩が、「便利なものを使わない手はない!」と強い口調で推していて。
実際、ロープウェイ登山をしてみたら、初心者のわたしでもゆとりのある山登りができたので、「あー、なるほど!全然ありだな~」と、“ロープウェイ登山=邪道”だという呪縛から解き放たれたんですよね。
むしろ、ロープウェイやリフトを上手に利用することで、標高の高い場所まで一気に移動し、歩く距離や標高差を抑えながら、高山ならではの景色や高山植物を楽しむという、新しい山の楽しみ方ができます。
「山頂まで全部歩いてこそ登山」という考え方ももちろんありますが、山を楽しむ目的は人それぞれ。
体力に不安がある人、登山初心者、子どもや家族と一緒に山を楽しみたい人、限られた時間で高山の景色を見たい人にとって、ロープウェイやリフトは心強い味方です。
ただし、ここで一つ注意したいのが、ロープウェイで標高を稼いだからといって、山そのものが簡単になるとは限らないということ。
標高2000m以上の場所まで一気に上がると、平地とは気温も風も大きく違います。
また、ロープウェイの駅から先が本格的な登山道になっている山も多く、岩場や急登、長い稜線歩きなどが待っている場合もあります。
つまり、
「乗り物で楽をする=装備はいらない」
ではありません。
ロープウェイやリフトを使うからこそ、短時間で標高の高い場所へ移動することによる体への負担や、急変する山の天候にも注意したいところです。
とはいえ、ロープウェイやリフトを使って、初心者でも気楽に高山ならではの絶景を見ることができたら、本当に言うことなしですから。
ここでは、ロープウェイやリフトを利用して高所までアプローチできる山の中から、比較的チャレンジしやすいコースを中心にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
ロープウェイ登山ができる高山(初心者向け)12選
【北海道】大雪山(旭岳)2291m

北海道の最高峰である大雪山・旭岳。
旭岳ロープウェイを利用すると、標高約1600mの姿見駅まで約10分でアクセスできます。
ここから旭岳山頂を目指すことができ、北海道最高峰の山頂からは大雪山連峰を見渡す雄大な景色を楽しめます。
ロープウェイを降りた時点ですでに高山帯の雰囲気が濃く、山麓とはまったく違う景色に驚くはず。
姿見駅周辺には散策路もあり、いきなり山頂を目指すのではなく、まず高山の環境に体を慣らしながら歩くこともできます。
ただし、旭岳山頂までの登山は「ロープウェイに乗ったから簡単」というわけではありません。
火山礫の斜面や風の強い稜線などもあり、天候によって難易度が大きく変わります。
ロープウェイを使っても、登山靴、雨具、防寒着などの基本装備はしっかり準備しておきましょう。
【青森県】岩木山(1625m)

津軽平野にゆったりと裾野を広げた姿で、“津軽富士”とも呼ばれる岩木山。
八合目まで津軽岩木スカイラインで車で上がることができ、さらにリフトを利用すれば九合目まで標高を稼げます。
リフトを降りてから山頂までは比較的短い距離なので、初心者でも「日本百名山の山頂に立つ」という達成感を味わいやすい山です。
独立峰だけに山頂からの眺望は素晴らしく、津軽平野を眼下に、天気がよければ遠くまで見渡すことができます。
一方で、岩木山は標高の割に山頂付近の風が強くなることがあります。
八合目まで車で上がれるからといって、街歩きのような服装で山頂を目指すのは避けましょう。
また、津軽岩木スカイラインは自動車専用道路で、営業時間やリフトの運行時間にも決まりがあります。 帰りのリフトや道路の利用時間まで含めて計画するのがおすすめです。
【山形県・宮城県】蔵王山(熊野岳)1841m

山形県と宮城県にまたがる蔵王山。
蔵王ロープウェイを利用すれば、標高1661mの地蔵山頂駅まで一気にアクセスできます。
ここから地蔵山、熊野岳、刈田岳方面へと登山道が続いているので、体力や時間に合わせてコースを選びやすいのが魅力です。
蔵王といえば、やっぱり「御釜」。
エメラルドグリーンの火口湖と荒々しい火山地形は、蔵王ならではの景観です。
地蔵山頂駅から熊野岳方面へ進み、馬ノ背の稜線を歩いて刈田岳まで足を延ばすコースも人気。
ロープウェイを使うことで、長い登りを大幅に短縮しながら、山らしい稜線歩きを楽しめます。
ただし、蔵王は火山地帯であり、稜線では風が強くなることもあります。
観光気分で出発するのではなく、登山靴や雨具、防寒着などを用意しておきましょう。
【山形県/福島県】吾妻山(西吾妻山)2035m

山形と福島の県境に位置する吾妻連峰の最高峰、西吾妻山。
天元台高原からロープウェイと夏山リフトを乗り継ぐことで、標高1820mの北望台まで上がることができます。
そこから高層湿原や高山植物を眺めながら西吾妻山を目指すルートがあり、標高2000m級の山を比較的効率よく歩けます。
西吾妻山の魅力は、山頂そのものよりも山頂へ至る途中の高層湿原や池塘、高山植物、稜線の景色にあります。
山頂は樹林に囲まれて展望がありませんが、「頂上からの大展望」だけが登山の楽しみではありません。
むしろ、なだらかな稜線を歩きながら自然をじっくり楽しみたい人におすすめです。
なお、ロープウェイやリフトは強風などで運休することがあります。
運休時には徒歩での下山が必要になる場合もあるため、乗り物に乗る前に運行状況と下山方法を確認しておきましょう。
【福島県】安達太良山 1700m

『智恵子抄』に登場する“ほんとの空”で有名な安達太良山。
あだたら山ロープウェイを利用すると、標高約1350mの山頂駅まで一気に上がることができます。
山頂駅周辺には展望スポットもあり、山頂を目指さなくても高原の景色を楽しめるのが魅力です。
そこから登山道を進んで安達太良山山頂を目指せば、初心者でも比較的挑戦しやすい日本百名山のひとつになります。
山頂付近には火山地形らしい荒々しい景観が広がり、天候がよければ「ほんとの空」と呼ばれる広い空を感じられます。
また、山麓には温泉施設もあるので、登山と温泉をセットにした日帰りのお出かけにも向いています。
ただし、山頂付近は風が強くなることがあるため、ロープウェイ乗車前に天候と運行状況を確認しておきましょう。
【福島県・栃木県】那須岳(茶臼岳)1915m

火山特有の荒々しい景観が特徴の那須岳・茶臼岳。
那須ロープウェイを利用すると、標高1684mの山頂駅まで約4分で移動できます。
そこから茶臼岳山頂までは登り約40~60分が目安で、初心者でも比較的挑戦しやすいコースです。
ロープウェイの山頂駅から先は、大きな岩が転がる火山らしい登山道。
山頂まで歩くことで、「ロープウェイに乗っただけ」では味わえない登頂の達成感もしっかり味わえます。
茶臼岳山頂からは360度の展望が広がり、那須連山や関東平野を見渡すことができます。
ただし、那須岳は風の強い山としても知られています。
風が強いとロープウェイが運休することもあるので、天気予報だけでなく風の状況も確認しましょう。
また、山頂駅より先には水場やトイレがないため、出発前に準備を済ませておくことも大切です。
【長野県】木曽駒ヶ岳 2956m

中央アルプスの最高峰である木曽駒ヶ岳。
ロープウェイを利用して標高2612mの千畳敷駅まで上がることができ、3000m級の高山を身近に感じられる人気の山です。
ロープウェイを降りた瞬間に目の前に広がるのが、氷河期に形成された千畳敷カール。
この景観を見るだけでも訪れる価値があります。
さらに山頂を目指す場合は、千畳敷から八丁坂を登って乗越浄土、中岳を経由して木曽駒ヶ岳へ向かいます。
標準的なコースで往復約4時間が目安とされており、中央アルプスの3000m級の山としては比較的挑戦しやすいコースです。
とはいえ、ここは標高2612mからスタートする高所登山。 「ロープウェイで登ったから楽勝」と考えないことが大切です。
高山病対策として、到着してすぐに急いで登り始めるのではなく、体調を確認しながらゆっくり歩きましょう。
また、夏でも低温や強風になることがあります。
【長野県】霧ヶ峰(車山)1925m

青々とした高原が広がり、高山植物を楽しむことができる霧ヶ峰。
その最高峰である車山は標高1925m。
展望リフトを利用すれば車山山頂までアクセスできるので、初心者でも高原の爽快感と高山の眺望を気軽に楽しめます。
山頂からは八ヶ岳、富士山、南・中央・北アルプス、浅間連峰など、360度の大パノラマ。
「登山」というより「高原ハイキング」に近い感覚で楽しめるコースも多く、家族連れや登山初心者にも向いています。
特に夏はニッコウキスゲなどの高山植物が楽しめ、花を目当てに訪れる人も多い場所です。
ただし、高原は開けている分、天候が変わると風雨をまともに受けます。 歩きやすい靴と雨具は忘れずに持っていきましょう。
【群馬県・長野県】四阿山 2354m

古くから水の神が住むという信仰の山、四阿山。
四阿山は標高2354mの日本百名山で、群馬県と長野県の県境に位置しています。
かつてはパルコールつま恋リゾートのゴンドラを利用して標高を稼ぐルートが紹介されることがありましたが、現在は施設の営業内容やアクセス方法が変更されることがあるため、四阿山登山を計画する場合は、利用予定の施設の営業状況と登山ルートを必ず事前に確認する必要があります。
ロープウェイ・ゴンドラなどを利用できる山を選ぶ場合、「昔は使えた」という情報が残っているケースもあるため、古い登山記事だけで判断しないことが重要です。
四阿山そのものは、山頂からの展望が素晴らしく、浅間山をはじめ、北アルプスなどを望める魅力的な山。
ただし、標高2354mなので、初心者が「乗り物で楽に行ける山」と思って無計画に挑戦するのはおすすめできません。
【群馬県】日光白根山 2578m

関東以北の最高峰で、山頂からは抜群の眺望が楽しめる日光白根山。
丸沼高原から日光白根山ロープウェイを使えば、標高2000mの山頂駅まで約15分。
標高差を一気に稼げるため、日帰り登山の選択肢として人気があります。
山頂駅周辺には天空テラスや天空の足湯などもあり、登山をしない人でも標高2000mの高原を楽しめます。
日光白根山の山頂を目指す場合は、山頂駅からさらに登山道を歩きます。
弥陀ヶ池や五色沼など、美しい火口湖をめぐるルートも魅力的です。
ただし、標高2000mからスタートして標高2578mまで登るため、決して「観光地感覚で登れる山」ではありません。
特に天候が悪化すると、視界が悪くなったり、強風にさらされたりすることがあります。
初心者の場合は、山頂までの往復時間と体力を十分に確認してから挑戦しましょう。
【徳島県】剣山 1955m

西日本第2位の高山で、古くから山岳信仰の霊場として敬われてきた剣山。
登山口の見ノ越から登山リフトを利用すると、標高1750mの西島駅まで約15分。
そこから山頂まではコースによって異なりますが、比較的短時間で標高1955mの山頂を目指せます。
剣山は日本百名山の中でも比較的登りやすい山として知られ、登山初心者が高山デビューをする場所としても向いています。
山頂付近は森林限界を超えて視界が開け、次郎笈へ続く美しい稜線を眺められます。
時間と体力に余裕があれば、次郎笈方面へ足を延ばすのもおすすめです。
ただし、リフトの営業時間には限りがあります。 「山頂まで行けたけれど、リフトの下り最終時刻に間に合わない」ということにならないよう、帰りの時間まで考えて行動しましょう。
【青森県】八甲田山(大岳)1585m

青森を代表する山岳エリア八甲田山。
北八甲田の主峰・大岳は標高1585mで、八甲田ロープウェーを利用すれば標高約1300mの山頂公園駅まで一気にアクセスできます。
ロープウェイを降りてすぐの山頂公園駅周辺には、30分・60分程度で楽しめる自然遊歩道があり、まずは高山の雰囲気を気軽に味わいたい人にもぴったり。
さらに本格的に歩きたい場合は、赤倉岳、井戸岳、大岳へと続く登山コースがあります。
大岳を目指すコースは総行程約5時間の本格的な登山になるため、「ロープウェイを使う=初心者向け」と一括りにしないことが重要です。
一方で、ロープウェイ山頂公園駅周辺の散策なら、登山経験が少ない人でも八甲田の高山植物や湿原の景観を楽しみやすいのが魅力です。
大岳方面へ向かう場合は、山頂公園駅で入山届を提出する仕組みもあります。
登山装備を整え、帰りのロープウェイの時間まで含めて計画しましょう。
まとめ。ロープウェイ登山は便利!でも甘くみないでね?

ロープウェイやリフトを利用すれば、山登り初心者でも標高の高い山に登頂することができたり、雲の上の絶景を目にすることができるんですよね。
これはやっぱり、「便利なものを使わない手はない!」と感じました。
しかも、ロープウェイ登山には「体力を温存できる」という大きなメリットがあります。
たとえば、
「普段は低山しか歩いていないけれど、高山植物を見てみたい」
「家族と一緒に山の景色を楽しみたい」
「山頂までの長い登りはまだ自信がない」
「限られた時間で標高の高い場所へ行ってみたい」
という人には、ロープウェイやリフトを利用した登山は非常に相性のいい選択肢です。
一方で、乗り物で標高を稼ぐことで「標高の高い場所に短時間で到着する」ことになります。
これは楽になる一方で、高所に体を慣らす時間が少なくなるということでもあります。
特に木曽駒ヶ岳や旭岳、日光白根山などの高所では、少し歩いただけでも息が上がることがあります。
無理にペースを上げず、体調がおかしいと感じたら引き返す勇気も必要です。
そして、もう一つ大切なのがロープウェイやリフトの運休。
山の乗り物は強風、雷、悪天候、設備点検などによって運休することがあります。
行きは乗れたのに、帰りは強風で止まってしまうというケースも考えられるため、
「運休したら歩いて下山できるか?」
まで考えておくと安心です。
また、乗り物には最終便があります。
登山に夢中になって時間を忘れ、最終便に間に合わない……ということがないように、山頂から戻る時間には十分な余裕を持たせましょう。
とは言え、低山とは全く違う自然環境であることには違いありません。
ロープウェイやリフトを使うことで「登山の一部を省略できる」だけであって、高山そのものの厳しさがなくなるわけではありません。
ウェアや装備、高山登山に見合った体力や技術を十分身につけてからチャレンジするのが安心ですね。
特に最低限、
・滑りにくい登山靴
・レインウェア
・防寒着
・飲料水
・行動食
・帽子
・日焼け対策
・ヘッドランプ
・スマートフォン
・モバイルバッテリー
・地図・コンパス
などは、コースや季節に応じて準備しておきたいところです。
そして出発前には、
「ロープウェイ・リフトは運行しているか?」
「登山道は通行できるか?」
「天気と風は大丈夫か?」
「帰りの最終便に間に合うか?」
「もし運休したらどうするか?」
を確認しておきましょう。
ロープウェイ登山は「楽をする登山」ではなく、自分の体力や目的に合わせて山を楽しむための賢い選択肢。
最初から全部自分の足で登る必要はありません。
まずは乗り物の力を借りて高山の世界に触れてみて、少しずつ歩く距離や標高差を増やしていく。
そんなステップアップも、山登りの楽しみ方の一つではないでしょうか。
※ロープウェイ・リフトの運行状況、登山道の通行状況、火山規制、営業時間などは変更される場合があります。お出かけの際は、各施設の公式サイトや自治体などの最新情報をご確認ください。

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