登山ウェアで重要なキーワード、“レイヤリング”。
レイヤリングとは、簡単に言うと重ね着のことで、それぞれの登山ウェアに足りない機能を補い合うことで、さまざまな天候や体温変化に対応できるようにするシステムをいいます。
そのレイヤリングには、
- アウターレイヤー
- ミドルレイヤー
- ベースレイヤー
の3種類がありますが、今回はレイヤリングの中間着、“ミドルレイヤー”についてのお話です。
アウターレイヤーとベースレイヤーの間に着用する中間着として位置づけられるミドルレイヤーは、体温調整の要とも言うべき登山ウェア。
分かりやすいアウターレイヤーやベースレイヤーと違って、種類が多く、どれが必要なのか悩んでしまうのがミドルレイヤーではないでしょうか。
今回は、そんな分かりにくいミドルレイヤーについて、どのような種類や機能があるのか、まとめてみることにしました。
それぞれのミドルレイヤーの上手な使い分けについても見ていきましょう。
目次
ミドルレイヤーとは?
ミドルレイヤーとは、ベースレイヤーとアウターレイヤーの間に着用する登山ウェアのこと。
歩行時や休憩時に着たり脱いだりすることで、ウェア内の温度を調節し、体にとって快適な状態を維持する役割をもっています。
ミドルレイヤーの種類や機能いろいろ
ダウンやフリースなどの保温性があるものや、透湿性があるものなど、ひと口にミドルレイヤーと言っても種類や機能はさまざまです。
気候やその日の行程によって、どんな種類や機能をもつミドルレイヤーが最適なのかを選ぶ必要があります。
フリースウェア
フリースと言えばユニクロのフリースを思い浮かべるくらい、秋冬の日常着としても定着しているフリースウェア。
保温性や着心地の良さが人気のフリース素材は、透湿性が高く蒸れにくいのが特徴です。
一方、通気性が良いため、風には弱いというデメリットがあります。
最近では、吸汗機能のあるフリースウェアが人気となっているようです。
- 透湿性 ★★★★★
- 吸汗性 ★★☆☆☆
- 保温性 ★★★★☆
- 防風性 ★☆☆☆☆
- 防水性 ★☆☆☆☆
- 撥水性 ★★☆☆☆
ウィンドシェル
重さわずか50~100gほどで、防風撥水性を備えているジャケット。
薄手でコンパクトにまとまり、携行性にも優れています。
- 透湿性 ★★★☆☆
- 吸汗性 ★☆☆☆☆
- 保温性 ★★☆☆☆
- 防風性 ★★★★★
- 防水性 ★★☆☆☆
- 撥水性 ★★★★★
ソフトシェル
透湿、防風、撥水性を備えたソフトな着心地のウェア。
アウターレイヤーとミドルレイヤーの両面の特徴をもつ、ハイブリッド的な存在です。
- 透湿性 ★★★★☆
- 吸汗性 ★★★☆☆
- 保温性 ★★★☆☆
- 防風性 ★★★★★
- 防水性 ★★☆☆☆
- 撥水性 ★★★★★
山シャツ
登山ウェアと聞いて真っ先にイメージするのが、山シャツ。
一般的なシャツと違い、紫外線対策や虫よけ対策が施されているなど、機能性が高いのが特徴です。
化繊やウール素材がおすすめです。
- 透湿性 ★★★★☆
- 吸汗性 ★★★☆☆
- 保温性 ★★☆☆☆
- 防風性 ★★☆☆☆
- 防水性 ★☆☆☆☆
- 撥水性 ★☆☆☆☆
化繊ウェア
高い通気性と速乾性をもつため蒸れにくく、ウェア内をドライに保つミドルレイヤー。
日常着として取り入れやすいデザインのものが多く、着用感が軽いのが魅力です。
- 透湿性 ★★★★★
- 吸汗性 ★★★★☆
- 保温性 ★★★☆☆
- 防風性 ★★☆☆☆
- 防水性 ★☆☆☆☆
- 撥水性 ★☆☆☆☆
ダウンベスト
化繊素材の中綿が入った、保温機能の高いミドルレイヤー。
一般的なダウンベストと違い、水に濡れてもカサが減らないので、保温性をキープできます。
- 透湿性 ★★☆☆☆
- 吸汗性 ★☆☆☆☆
- 保温性 ★★★★☆
- 防風性 ★★★★☆
- 防水性 ★★☆☆☆
- 撥水性 ★★★☆☆
ウールニットパーカ
街中でも使えるおしゃれなデザインが魅力のウールニットパーカ。
天然素材のメリノウールは、肌にやさしく吸汗性に優れています。
フリースに比べて重く、虫食い予防などのメンテナンスが必要なのがデメリットです。
- 透湿性 ★★★★☆
- 吸汗性 ★★★★☆
- 保温性 ★★★☆☆
- 防風性 ★★☆☆☆
- 防水性 ★☆☆☆☆
- 撥水性 ★☆☆☆☆
上記のほかに、フリースベストやセーター、七分袖パーカなどもミドルレイヤーになり得ます。
登る山やその日の天候、自分の体質や体調、着心地の良さとのバランスが取れれば、登山ウェアでなくても素材次第で山登りに十分活用できるんです。
ミドルレイヤーの上手な使い分けは?
どの登山ウェアを選んでも、これひとつでOK!というような万能ウェアは存在しません。
状況に合わせて組み合わせることで、それぞれの足りない機能を補い合うことができます。
以下、ミドルレイヤーの上手な使い分けとして、簡単にまとめてみました。
フリースウェア(薄手・吸汗性機能)+ウィンドシェル/300g+80g
春~秋、低山~高山まで、オールマイティに活用できる汎用性の高い組み合わせがこちら。
フリースウェアのデメリットである防風性のなさをウィンドシェルが補ってくれます。
組み合わせることでソフトシェル単体の重量よりも重くなり、かさばってしまいがちなのが難点ですが、保温性は格段にアップします。
吸汗性機能のある薄手のフリースウェアは肌触りが良く、山小屋泊やテント泊など、就寝時にもおすすめ。
ソフトシェル/200~300g
アウターレイヤーとミドルレイヤーのハイブリッド的存在であるソフトシェルは、荷物をなるべく少なく、より軽くしたい縦走登山や稜線歩きがメインの登山におすすめ。
汗はかくけれど風が強いというような状況下で活躍します。
山シャツ/化繊素材150g・ウール素材300g
夏山登山がメイン(今のところ)のわたしにとって、最も出番が多いミドルレイヤーが山シャツ。
袖をまくったりボタンを開けたりすることで、簡単に体温調節ができるのが魅力です。
紫外線防止効果と虫よけ効果が期待できる機能性素材は、夏山登山にマスト。
まとめ
今回ご紹介したミドルレイヤーのほかに、アウターレイヤーやベースレイヤーを重ねてレイヤリングが完成しますが、これが正解!という組み合わせは正直言ってありません。
自分の体調や登る山の状況によって、レイヤリングの組み合わせが変わってくるのは当然ですよね。
これはもう、トライ&エラーを繰り返しながら、自分なりに習得していくしかないと思います。
楽しく快適に山登りをするためには、登山ウェア選びがかなり重要!
種類が多く、どれが必要なのか分かりにくいミドルレイヤーですが、少しは参考になったでしょうか?
わたしもまだまだトライ&エラーの繰り返し中・・・
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