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山中の避難小屋、一般的な山小屋とは何が違う?宿泊はできる?

山中の避難小屋、一般的な山小屋とは何が違う?宿泊はできる?

登山中、山の中で見かける無人の避難小屋。
管理運営されている一般的な山小屋とはその目的がちょっと違うらしいのですが、一体何が違うのかご存知ですか? 山小屋=山中泊というイメージが強いですが、避難小屋に宿泊することはできるのでしょうか?

登山地図を見ていると、登山ルートの途中に「避難小屋」と書かれていることがありますよね。
山小屋と同じように泊まれる場所なのかな?と思ってしまいますが、実は避難小屋には、一般的な営業山小屋とはかなり違った役割があります。

今回は、避難小屋とは何なのか、その設置目的や利用ルール、実際に利用するときに気をつけたいポイントについて調べてみました。

避難小屋とは?

避難小屋

そもそも、避難小屋とは一体何なのか、まずはその設置目的についてまとめてみますね。

避難小屋は、管理人が常駐していない山小屋のひとつで、寝具や食事提供、炊事道具のない、緊急避難用施設を指します。

悪天候やケガなどのアクシデントで動けなくなった場合、緊急時の待避場所として利用することができます。
食料や燃料、寝具などはありませんが、避難小屋に入れば雨風や雪をしのげます。
これが避難小屋の主な設置目的になります。

たとえば、山の中で突然激しい雨が降ってきたり、雷が鳴り始めたり、強風や吹雪に見舞われたり・・・。

あるいは、転倒して足を痛めてしまい、そのまま歩き続けることが難しくなってしまったり。

そんなときに、身を守るための場所として利用できるのが避難小屋です。

つまり、避難小屋は「快適に山中泊を楽しむための宿泊施設」というよりも、いざというときに登山者の命を守るための場所と考えておくのが基本。

山の中では、街のようにすぐに雨宿りできる場所があるわけではありません。
そのため、山域によっては、一定の間隔で避難小屋を設置しておくことが登山者の安全につながります。

そのほか、山中での宿泊が必要なコースで、テント利用は自然へのダメージが大きいとして、簡易の宿泊先として設置された避難小屋もあります。

このようなタイプでは、緊急時だけではなく、計画的な山中泊に利用できる場合もあります。

ただし、ここが避難小屋を利用するときの一番ややこしいところ。

「避難小屋」とひと口に言っても、その役割や利用ルールは山域によって違います。

「避難小屋だから無料で泊まれる」と一律に考えてしまうのはNGなんですね。

避難小屋に宿泊することはできるの?

避難小屋 蔵王山

結論から言うと、避難小屋への宿泊は可能。

基本的には無人で、宿泊も無料です。

ただし、山域によっては例外も多く、待避場所として設置された避難小屋の場合は、緊急時のみ宿泊できることになっています。

また、宿泊できる避難小屋であっても、一般的な山小屋とは違って、スタッフが食事を作ってくれるわけでも、布団を敷いてくれるわけでもありません。

基本的には「自分で自分の面倒を見る」場所。

寝具、食料、調理道具、防寒着、ヘッドランプなど、必要なものは自分で準備しておく必要があります。

避難小屋を利用する場合は、まず「泊まれるかどうか」だけではなく、

  • 宿泊を前提として利用できる避難小屋なのか
  • 緊急時のみ利用できる避難小屋なのか
  • 利用料金が必要なのか
  • 管理人がいる時期はいつなのか
  • トイレや水場があるのか
  • 冬期でも利用できるのか

などを、事前に確認しておくことが大切です。

例外:北海道や東北の場合

登山者の多い山域には、夏期のみ管理人が常駐する避難小屋があります。

その期間中は、宿泊が有料(1000~2000円ほど)になります。

普段は無人の避難小屋でも、登山者が多く訪れるシーズンには管理人が配置され、実質的に営業小屋に近い形で利用できる場合もあります。

そのため、北海道や東北の山で避難小屋を利用するときには、「無人小屋だから無料」と決めつけず、最新の情報を確認しておきたいですね。

例外:北アルプスの場合

一般的な営業小屋の数が多いため、避難小屋の位置づけはあくまでも一時待避する場所。

なので、宿泊を前提とした山行計画はNGです。

北アルプスのように営業している山小屋が多い山域では、避難小屋を「宿泊施設」としてあてにするのではなく、本当に困ったときの一時的な避難場所として考えておく必要があります。

「予定していた山小屋がいっぱいだったから避難小屋に泊まろう」というような使い方ではなく、あくまでも緊急時のための場所ということですね。

例外:南アルプスの場合

特種東海フォレスト管理の南アルプス南部の避難小屋は、夏期のみ管理人が常駐します。

有料で、レトルトの軽食と寝具の提供があります。

夏期以外は無人の避難小屋として開放されます。

このように、同じ「避難小屋」という名前でも、管理される時期によって利用できるサービスが変わる場合があります。

泊まる予定がある場合は、営業期間や管理状況を事前に調べておくことが大切ですね。

例外:奥多摩の場合

悪天候やケガを負って動けないなどの一時待避所として、緊急時のみ利用することができます。

このタイプの避難小屋にはトイレも設置されていない場合が多いようです。

このような避難小屋は、最初から宿泊地として計画に組み込むのではなく、「何かあったときの最後の逃げ道」として覚えておくとよさそうですね。

避難小屋を利用するときの注意点は?

避難小屋は、ホテルや旅館のような宿泊施設ではありません。

そのため、利用するときには、一般的な山小屋以上に自分で準備することが重要になります。

まず必要になるのが、寝るための装備。

避難小屋には寝具が用意されていないことが多いため、寝袋やマットなど、自分で用意する必要があります。

床が板張りの場合は、寝袋だけでは冷気や硬さが気になることもあるので、マットがあると安心です。

そして、当然ながら食事も自分で用意します。

食料や飲料水、必要であればバーナーやクッカーなども持参することになります。

ただし、避難小屋によっては火気使用が禁止されている場合もあるので、「避難小屋ならバーナーを使っていい」とは限りません。

また、水場についても注意が必要です。

山では「近くに沢があるから水は大丈夫」と思ってしまいがちですが、沢の水をそのまま飲めるとは限りません。

水場の有無だけでなく、飲用できる水なのか、浄水が必要なのかなども確認しておきたいところです。

避難小屋では「譲り合い」が大切

避難小屋は、一般的な山小屋のようにスタッフがいて利用者を案内してくれるとは限りません。

そのため、利用者同士でルールを守り、譲り合うことがとても大切です。

特に避難小屋が混雑している場合、自分の荷物を広げすぎたり、必要以上に場所を占有したりするのは避けたいもの。

後からやってきた登山者が、悪天候で本当に困っている可能性もあります。

「自分が先に来たから、この場所は自分のもの」という考え方ではなく、みんなが安全に利用するための場所という意識を持っておきたいですね。

もちろん、ゴミを残さない、汚したら掃除する、備え付けのものを勝手に持ち出さないなど、基本的なマナーも大切。

避難小屋を次に使う人のことまで考えて利用したいものです。

避難小屋をあてにした山行計画は危険?

避難小屋について調べていて、個人的に一番気をつけたいと思ったのがこれ。

「避難小屋があるから大丈夫」と考えないことです。

たとえば、「今日はここまで歩いて、疲れたら避難小屋に泊まろう」という計画を立てたとしても、その避難小屋が満員だったり、利用できなかったり、荒天によってそこまでたどり着けなかったりする可能性があります。

また、避難小屋自体が老朽化していたり、積雪や災害などによって利用できない場合も考えられます。

山では、「予定どおりにいかない」ことを前提に計画しておくことが大切。

避難小屋は、あくまでも安全を確保するための選択肢のひとつとして考え、そこに頼り切らない山行計画を立てるのがよさそうです。

山小屋と避難小屋、登山地図での違いは?

山小屋と避難小屋は登山地図上でもこのような違いがあります。

山小屋 避難小屋 登山地図参照:『山と高原地図』

屋根の色 壁の色
通年営業の山小屋 白 黒
期間営業の山小屋 黒 白
避難小屋など 白 白

登山地図を見ると、山小屋と避難小屋がそれぞれ違う記号などで表示されていることがあります。

ルートを計画するときには、目的地だけを見るのではなく、途中にどんな避難施設があるのかも確認しておくと安心です。

「ここまで歩いたら避難小屋がある」という情報を知っているだけでも、山行中の安心感はかなり違います。

ただし、先ほども書いたように、避難小屋があることと「確実に泊まれる」ことは別問題。

地図に載っている情報だけで判断せず、最新の山域情報もあわせて確認しておきたいですね。

避難小屋に宿泊するときに必要なものは?

避難小屋に宿泊する場合は、寝具や炊事道具、食料を持参するのが基本。

避難小屋には照明もないので、ヘッドランプのほか、小型のLEDランタンがあると快適に過ごすことができそうですね。

さらに、

  • 寝袋
  • マット
  • 食料・行動食
  • 飲料水
  • ヘッドランプ
  • 防寒着
  • 救急用品
  • 地図・コンパス
  • 必要に応じて調理器具

など、一般的な山小屋泊よりも自分で準備するものが多くなります。

特に忘れたくないのがヘッドランプ。

避難小屋に到着するころには日が暮れている可能性もありますし、夜間にトイレへ行く必要が出てくることもあります。

「避難小屋だから照明くらいあるだろう」と思わず、自分の明かりは自分で用意しておくのが基本ですね。

まとめ

避難小屋は、一般的な山小屋とは違って、基本的には悪天候やケガなどの緊急時に登山者が身を守るための施設。

一方で、山域によっては計画的な山中泊に利用できる避難小屋もあるので、利用する前には、その小屋がどのような目的で設置されているのかを確認しておくことが大切です。

「避難小屋=無料で泊まれる山小屋」と考えるのではなく、「困ったときに身を守るための場所」という基本的な意味を理解しておくとよさそうですね。

そして、実際に宿泊できるタイプの避難小屋を利用する場合も、寝袋や食料、ヘッドランプなどは自分で準備するのが基本。

山小屋のようなサービスを期待するのではなく、自分たちで快適な環境を作る場所くらいに考えておくとイメージしやすいかもしれません。

登山地図を眺めていると、ついつい山頂や絶景スポットばかりに目が行ってしまいますが、こうした避難小屋の位置を確認しておくことも、実はとても大切な山行計画のひとつ。

「このルートには避難小屋がある」「ここで天候が悪化したら、この方向へ逃げることができる」と知っているだけでも、いざというときの判断材料になります。

とはいえ、避難小屋があるからといって無理をしてはいけません。

天気が悪化する前に引き返す、体調に異変を感じたら早めに行動を変更する。

これが一番大切なこと。

避難小屋は、あくまでも万が一のときの「逃げ道」。

その存在を正しく知って上手に活用しながら、安全第一で山登りを楽しみたいですね!

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