大雨に洪水、地震や台風など、自然の力は人間の想像を遥かに超えるもの・・・
昔から、「地震・雷・火事・親父」と言われてきたように、雷も自然の脅威を感じる代表的なものですよね。
登山のハイシーズンでもある夏は、雷の発生率もダントツに高いので、不安に思いながら山登りをしている人も多いのでは?
登山家・田部井淳子さんも、夏山で一番怖いものとして雷を挙げています。
山で一番怖いもの、それは夏なら雷です。
『山の単語帳』より
今回は、雷のメカニズムや傾向、予防対策や避難方法など、雷による事故を防ぐための基本的な知識についてまとめてみたいと思います!
目次
雷による事故を防ぐには?
登山中、気づけば遠くに怪しい雲が見えてきて、「ゴロゴロゴロ・・・!」という雷鳴が聞こえてきた・・・
夏山登山でこういう経験をした人もいるのではないでしょうか?
自然が相手なのでどうしようもない・・・と思ってしまいがちですが、これはひと昔前までの話。
現在では、雷のメカニズムや傾向がかなり解明されてきているので、雷による事故を防ぐ確率を上げることもできるんだとか。
雷が発生する気配を感じたら退避することはもちろん、そもそも雷に遭遇しないような山行計画を立てることも重要です。
雷への遭遇を未然に防ぐ!
まずは、雷に遭遇しないための予防対策が何よりも大切。
以下の2つの予防対策を徹底することで、雷に遭う確率を下げましょう!
情報収集をしっかり行う
さまざまな方法で天気に関する情報を知ることができる今、徹底した情報収集が雷の予防対策の大きな手段のひとつになっています。
最も重要な情報は、もちろん気象情報。
“雷情報”や“天候の急変”というようなキーワードがニュースに出ている場合は、迷わず山行計画を変更しましょう。
スマホアプリや携帯型の雷警報器などを活用するのもいいかもしれませんね。
雷の予防対策におすすめのスマホアプリ
雷アラート
市町村単位で地域を登録・設定し、地域に雷雲が接近したり、近くの雷雲が離れていくとお知らせするスマホアプリです。
雷アラートでは、アプリ内で雷レーダーを表示!
今どこで雷の発生確率が高いのかが、一目で簡単に分かります。
雷雲の接近は以下の3段階で表示!
設定した地域に雷雲が近づいたり、近くの雷雲が離れていくとお知らせします。
雷レーダー
Yahoo!天気アプリの雷レーダーは、1時間先までの落雷予測を地図上に表示してくれます。
10分刻みの表示で、落雷の激しさは4段階の濃度で表される。
過去1時間の落雷地点も確認できる。
携帯型の雷警報器
雷の発生率が高くなる時間を避ける
夏の雷は、午後から夕方にかけて発生率が高くなるという傾向があります。
なので、遅くても13時から14時頃、午後のなるべく早い時間に下山できるような山行計画を立てることで、登山中の雷を防げる確率が上がるんですね。
活動時間が長くなってしまうような場合は、登り始める時間を早めたり、ひとつひとつの行動を早めに終わらせるなど、夕方の時間にかからないように工夫したいものです。
情報収集をしっかり行って、雷の発生率が高くなる時間を避けて登山をしたとしても、自然現象である雷に油断は禁物。
もしも雷に遭ってしまったら、どうすればいいのでしょう?
もしも雷に遭遇してしまったらどうする?
遠くのほうで雷がピカッと光ったり、ゴロゴロ鳴り始めたら、「まだ遠いから大丈夫」などとのんびりせずに、速やかに安全な場所に避難することが大事です。
ですが、安全な場所と言っても、山の中ではどこが安全なのか判断が難しいですよね・・・
避難方法を明確にするためにも、まずは雷のメカニズムを知ることから始めましょう!
雷のメカニズムを知る
雷は高い場所に落ちる性質があります。
それから、金属製の物に落ちるという性質もよく知られていますよね。
周りに何もないような山の中では、金属製の物を持っている、持っていないにかかわらず、周りの中で自分が一番高ければ雷が落ちる可能性が高くなります。
それから、周囲で一番高い点から45°の角度で地面に線を引いたとき、できる三角形の範囲の中には雷が落ちにくいという性質も。
出典:生き残れ。Annex
つまり、周りに何も遮るものがないような尾根沿いの岩稜帯よりも、樹々に囲まれている樹林帯の中にいるほうが落雷に遭いにくいということになりますね。
雷のメカニズムが分かったところで、つぎは雷に遭遇したときの避難方法についてまとめます。
雷に遭遇したときの避難方法
①姿勢を低くする
周囲に避雷針やその代わりになるようなものがない場所では、できる限り姿勢を低くするようにします。
このとき、周囲に高い物がある場合にはその頂点から45°の範囲外にいないことも確認しましょう。
②安全な場所に移動する
避雷針がある山小屋の中は安全な場所のひとつ。
そのほか、車の中も安全を確保しやすい場所になるので、戻れる位置に車がある場合は車に避難するのも手ですね。
東屋やテントなどは落雷の可能性があるので、避けるようにしましょう。
以上、雷による事故を防ぐための基本的な知識でした。
あくまでも基礎知識であって完璧な対策ではないので、これを踏まえた上で、天気を読むための力を身につけていきたいものですね。
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